歴代司祭
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ペトロ・阿野 武仁師

深堀小教区と善長谷教会 阿野 武仁
 
 

 私が深堀小教区に赴任したのが今から十六年前、皆様とお別れしてから六年の歳月が流れてしまいました。深堀小教区の思い出は数限りなく浮かんできますが、「深堀小教区と善長谷教会」という点に絞って、思い出の糸をたぐってみたいと思います。

 まず最初の驚きは、一つの小教区にこんなに違ったタイプの教会が存在するところが、長崎教区内、いや日本中にほかにあるのだろうか、ということでした。日曜日のミサ参加者の信徒数に対する割合は善長谷教会のほうが何倍も多いのに対し、ミサ参加者たちの積極的協力姿勢という面については深堀教会の信徒のほうがはるかに勝っている、との印象を拭いきれませんでした。

 しかし個人的には、その両方のタイプがともに好きでした。この二つのタイプがうまくひとつに溶け合うならば、どこにもないようなすばらしい小教区ができあがるに違いない、と信じていました。そこでしばらくの間は、同じ日曜日の説教で、善長谷教会の信徒を見倣えと深堀教会では話し、深堀教会の信徒に学べと善長谷教会では説き続けました。

 交わりが少なかった両教会の信徒たちも、運動場の草刈り、合同運動会、小教区バザー、ルルド巡礼などを通して、同じ小教区の信徒同士なのだという連帯意識がしだいに深まっていったように感じています。そしてこれからも、信徒会の「部活動」での交流やクルシリスタとしての交流、さらに地区および教区レベルの諸活動や聖書講座、神学講座の受講などを通して、二つの教会の信徒たちが、深堀小教区の一員、長崎教区の一員としての意識を深め続けていってくれることを、心より願っています。
 

教会見て歩き 

カトリック教報
1988年(昭和63年)2月1日発行


深堀教会

 造船の町長崎は、1960年代半ばより第二次輸出ブームに入り、香焼に百万トンドッグが建造された。それに伴い、従業員のためのアパートが香焼、深堀に次々と建設され、住民の人口が急激に増加していった。

深堀教会(長崎市深堀町5の292、主任司祭・阿野武仁神父)は、1976年5月30日、被昇天の聖母に捧げる教会として献堂された。
元来、深堀の地には信徒が皆無であったが、戦後に善長谷教会より数世帯の信徒が移り住んだのが始まりである。その後、造船所従業員とその家族の転入で信徒数は年々増え続け、現在は13の班に分かれた千二百人がこの教会に所属している。

 この教会の組織は非常にユニークである。昨年の黙想会の時、小教区内の高校生以上の信徒全員参加をもって構成される信徒会が発足した。主任司祭の阿野神父を中心に、信徒は自由意志で十の部(宣教奉仕部・社会奉仕部・青少年育成部・体育文化部・教会美化部・典礼部・広報部・老病人奉仕部・祈りの奉仕部・班活動推進部)のいずれかに所属している。そして、日常生活の中でも、部の精神を生かすよう努力しているという。

 宣教奉仕部のメンバーは、深堀地区の一般住民にカトリック教会の姿を知ってもらおうと、映像のメディアを使った福音宣教を企画。部員はポスターを貼り、スピーカーをつけた車で、地域内を宣伝してまわり、出席を呼び掛けた。

 前例のない呼び掛けが功を奏し、当日は会場となった幼稚園ホールが、信徒を含めて百二十人あまりで一杯となった。大人向けには「マザー・テレサ」、子供向けには聖書をもとにしたアニメ「トンデラハウスの大冒険」の映画を上映し、地域の人々との交流を深めた。

また、昨年のクリスマスには、子供たちにイエス様やマリア様への御願いの言葉を短冊に書かせ、教会のクリスマスツリーに飾り、子供たちを喜ばせた。「今年のクリスマスは、もっと福音的に発展したクリスマスにしたい」と宣教奉仕部のメンバーは新たな意欲を見せている。

 3年前に始った「学ぼう会」も盛況である。会員数20人で、阿野神父の指導のもとに宗教関係の本を読む読書会である。今までに数冊の本を読破。現在は「宣教シリーズ」をおえたところである。

 会員の1人は、家が教会から遠いにもかかわらず、「この会は楽しくて魅力があるので一回も休みたくない」と雨の日も自転車を走らせて参加している。

 社会奉仕部は、バス停留所の清掃や地区青少年の非行防止のため、夏休みの中の夜間パトロールなどを行っている。

 隣接している香焼教会とは以前から何かと密接な関係にある。
「マリアの年」の記念行事も、昨年11月に合同で聖母行列を企画した。「聖母と歩もう世界平和のために」をメインテーマに、両教会信徒5百人が、香焼教会から深堀教会まで聖母像を担いで行進し、野外ミサをささげた。今年の5月には、深堀教会から香焼教会までの聖母行列を計画している。

 主任司祭の阿野神父は、小教区報「ひろがり」第5号の中で、「日本の教会は福音宣教を合言葉にみんなの心が一つの目標に向って進んでいます。私達の小教区がキリストと共に生きる喜びで溢れていれば、おのずからまわりの人々にも伝わっていくでしょう。」と記している。

 今、深堀教会は、司祭と信徒が共にスクラムを組み、一致した姿でより福音に目覚めた「開かれた教会」を目指して歩みを進めている。
 

小教区運動会
 
 

 
小教区バザー風景

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